ウィルチェアファミリーチャンネル

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家族の外食、今と過去を振り返る

みなさんこんばんは。のりちゃんです。

7年前のFacebookの投稿が再表示されて出てきました。

長男がまだ3歳の頃の話です。

 

今見ても「あの空気感ほんましんど!!」と思うのですが、

こんなことがありました。

 

※2つのエピソードを書きましたがどちらも回転ずし屋さんが悪いという話ではありません

 

回転寿司屋で今既に1時間待ち。

平均10分待ちなのに1時間待ち。

夫が座席に乗り移れないから、ひたすらカウンター空くの待ち。

子どもが待ちきれなくてどうしたらいいかわからない。

あとから来る人は次々呼ばれるし、お腹すいてるだろうし

ガチャガチャ欲しい気持ちもわかるし、

可哀想だしガチャガチャくらい…と思ってしまう気持ちもなくはない。

でも毎回ガチャガチャはできない。

こういう我慢はこれからたくさんしなければならないんだと思う。

これでガチャガチャさせたら、いつもガチャガチャできるになってしまう。

親が障害者だと

しなくていいはずの我慢もたくさんしなくちゃいけないのかもしれない。

その度、ご褒美もらえる訳じゃない。

だからって、別に夫が悪いわけでもなく夫が自責の念に駆られてるのもわかる。

案内のバイトのお兄さんが他の店員さんと

「あとここが空けば呼べるのに凄く待たせちゃって…。 なかなか空かないんだよな。どうしよう」

ってずーっと小声で話してるのも聞こえるし、

どのお客さんがどのくらい滞在するかもわからないし、

席の案内が実は結構難しい作業なのもわかる。

 

誰が悪い訳じゃない。

みんなの気持ちがわからないではないから、深い深ぁい、ため息がでる。

 

やっぱりガチャガチャくらい、させてやっても良かったのかなぁ?

あと何回こんな時間を過ごすのだろう?」

 

 



誰も救われなさ過ぎてしんどい!!!

 

これは7年前の話なので、私の考え方も我が家の状況も

社会全体の雰囲気も多分店のシステムも、障害のある人への配慮のあり方ももう随分変わっています。

 

今思うと、別の店に行けばいいし(近くに何も無いとこだったけど)

ガチャガチャさせてもいいし、スマホ見せても良かったじゃん!!

と思いますが

 

私も初めて育児で何が正解かよくわからないまま、

当時の母親の多くがそう言われたようにあちこちで

「お母さんがしっかりしつけないと!」「お母さんがちゃんとしないと」「お母さんに掛かってますよ」

お母さんがお母さんがお母さんが…と言われ、

こんなに長く待ったから少しくらいいいかと、

スマホ見せようとしたらヒソヒソ「最近の母親は…」と言われ、

母親の正しい振る舞いって何?とプレッシャーに押しつぶされそうで

必死な時でもありました。

 

(この「お母さんが!!」ってやつ、不思議と7年後の次男育児で言われたことがないんです。やっぱり時代?)

 

だからこんな時の子どもへの対応も、夫への声の掛け方も、

お店側への「気にしないで」の伝え方もスマートにできず自己嫌悪でした。

 

誰も救われなさすぎる…。

 

 

 

そして約7年後のつい先日、こんなことがありました。

 

家族で行った回転ずし店、まだそんなに混んでいなかったものの

夫が自動受付機で受付しようとすると、

(最近は我が家は次男に合わせてテーブル席を選ぶのでこの時も夫が選ぼうとしたのはテーブル席でした。)

「今車椅子用テーブル席がいっぱいなのでカウンターでいいですか?」

と店員さん。

 

あれ?テーブル席ダメなの?と思いながらカウンターが空いているのならと夫はOKしたものの、

結局カウンターが空いておらず、そのまま待つことになりました。

 

でも次々来るお客さんがどんどんテーブル席に通されるのを見て、夫が私に言いました。

「乗り移るから普通のテーブル席でいいんだけど…。」

 

「じゃそれを店員さんに言えばいいんじゃない?今。」

と私。

 

再度それを伝えて空いている席に案内してもらい

次男が愚図る前に、無事にテーブル席で食事することができました。

 

7年前と7年後、一体何が違ったのでしょう?

少し考えてみましたこれは私の主観ですので

必ずしもそうだとは言えませんが。

 

 

 

①夫の中の優先順位が変わったこと

 

7年前の夫はテーブル席への乗り移りNGでした。

なので長男はベビーの頃からカウンター育ちでした。

ですがおとなしかった長男と違い、やんちゃで活発な次男です。

飽きる前に食べさせ、さらに家族も食べる必要があります。

次男育児では外食時の子どもの介助はほとんど夫が担ってくれているため、

夫の中のロジックが、乗り移ることへの不安から子ども優先にシフトチェンジしたことが大きな違いの気がしています。

 

②社会全体の雰囲気が変わったこと

 

育児を母親だけの責任と押し付ける風潮が随分減ったことで

夫が子どもを見ていても誰かに反応されることもなく、

私もプレッシャーを感じなくなったことで、

夫に対しても「なら店員さんに言えばいいんじゃない?」と意見を言いやすくなった。

多少騒ぎ出しても、「どうしよう」と過剰に怖がることなく子どもに対処できるようにもなりました。

 

③合理的配慮義務化

 

車椅子ユーザーの理解も広まり、

基本的なお店の対応や周囲の人の目も変わってきたなと感じます。

 

でも一番変わったのはきっと私自身じゃないかと思います。

車椅子ユーザーの妻として

「あなたが選んだ道でしょ?!」

「わかってたことでしょ?」

「犠牲になるのは当然でしょ!?」

「あなたがしっかりしないでどうするの?」

あちこちで知ってる人からも知らない人からも言われてプレッシャーに飲み込まれそうになっていました。

 

母になり、

「お母さんがしっかりしないと」

「お母さんのせいなんじゃないの?」

「お母さんの愛情不足なんじゃないですか?」

「お母さんはお父さんの分もがんばらないとですよ」

「お母さん、お母さんお母さん…」

 

母としても妻としても頑張らなきゃ、言われないようにしなきゃ

立派にこなさなきゃとプレッシャーに飲み込まれそうになって、

周りの目も周りの人も怖くなっていました。

 

 

次男が生まれてから、そういうすべてがどうでもよくなり

私に求められても無理なものは無理なんで、

できる範囲の精一杯をできるようにやるしかないんです~!

と開き直れるようになったことが一番大きいような気がします。

 

もちろん周りに配慮をしないということでも、子どもへの躾や夫の介助は一切しないということではなく

知らない人からのできない要求まで飲もうとしたり、

そこまで不安がって縮こまる必要はなかったなと思うようになっています。

 

そんなこんなで、"席トラブル"も

昔のように大波が立たなくなったのでした。

 

 

ここからは余談ですが今回の席トラブルは

店員さんの2つの思い込みがあったのかなと思います。

 

・車椅子ユーザーには個別対応が必要だ。

→でも実際には個別な配慮がそれほど必要ない場合もあります。

 実は障害があるから必ず困っているわけでも、配慮が必要なわけでもないのです。

 

・車椅子ユーザーは椅子が移動できる席にしか座れない。

→実際には、その人の身体状況やその日の事情によって変わります。

 車椅子のままより、乗り移って食べたいという人も中にはおられるそうです。

 

障害があるから今その場で必ず助けが必要というわけではありません。

何かをお願いしたときに、対話に応じる姿勢と意見のすり合わせにより

一緒に合意点に到達することが必要なだけです。

 

 

障害のある夫側も、今後

しっかり自分でどうしたいかを提示していく必要があるのだろうなと思います。

 

約7年前は不安が大きく乗り移りNGだった夫でしたが

次男が生まれてからは車椅子からソファに乗り移ることも増えました。

 

ですがそのことは店側に提示しなければわかりません。

 

そしてそれは本人にしかわかりません。

もし私が、「乗り移ればいいよね?!」と夫に言うとか

「乗り移れるんでソファ席にしてください。」と店員さん言ったとしましょう。

いや、いう時もありますが。

 

私には当事者である夫のロジックは見えません。

 

今日は肩が痛いから乗り移りはちょっとなと思っているかもしれないし、

お腹の具合がよくないから腹圧がかかる動作は避けたいなと思っているかもしれませんよね。

自分は多少我慢しても、あまり長くは待てない幼児の都合を優先したいと思っているかもしれません。

当事者の妥協ポイントもその日のその場での状況やコンディションによって変わるでしょうから、パートナー側からは見えないし、強要することもできません。

 

だから障害に対する配慮は本人にしか要請できないと思うのです。

 

でもこれ、なかなか勇気のいることですよね。

お店に「こうしてください」というのも、

家族に「待ってね」と言うのも。

 

どちらにも申し訳ないと感じるでしょうし、

なんで自分はそうやって声を大にしないといけないのかとも思うことでしょう。

しかも毎回毎回。どこに行っても何をするにも。

 

しんどいですよね。正直。

 

だからこそ障害当事者には知って欲しいんです。

障害のある人の権利や、なぜ障害のある人だけが声を大にしなければならない現状なのか、障害の社会モデルについてや、合理的配慮が義務化されてどうなっていくのかということを。

 

これらを知っていれば、

「すいません。こうしたらできるんで、こうしていいですか?」

と声を出してもいいんだよ!

それはわがままではなく、双方の利益に繋がるんだよ!

ということが理解できるからです。

 

そうやって起きた摩擦に対し障害のある人のロジックを伝えることで

社会の側も徐々に変わり、社会を寄り良くしていくことに繋がるのです。

 

今私が読んでいる本をお勧めしておきますね。

 

いや、なんだか話が壮大に逸れてますが、

社会全体の雰囲気や意識がかわったこと、

夫が変わったこと、私も人を気にしなくなったことで

あんな重苦しい空気感をもう感じなくていいんだなと、

様々な変化がもたらしたものとこの7年という月日の長さを

ぼんやりと眺めるのでした。

 

皆様が外食の際には素敵な時間を過ごされますように!!