ウィルチェアファミリーチャンネル

当ブログにご訪問ありがとうございます! 【wheelchair family channel 】ウィルチェアファミリーチャンネルです。 車椅子ユーザーでも臆せずパパママになれる社会にむけての情報をメインに発信しております。当たり前ですが、車椅子ユーザーでも家庭を持って子育てができます。 少しの工夫をみんなで共有して大きな愛のある生活を手に入れませんか?

いつか子どもが欲しい!脊髄損傷男性は子どもを作れるの?


 

どうも脊損のyome、のりちゃんです。

皆さまH.C.R(国際福祉機器展)、行かれましたか?

明日ですか?そうですか。

 

私?私は残念ながら今年は不参加です(ノД`)・゜・。

 

だって明日は楽しい妊娠判定♡

もう陰性出ててほぼ妊娠してないとわかってるのに、しなきゃいけない妊娠判定♡

無駄だとわかってるのに自費採血5000円♡

 

気ぃ重っ!!

 

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そんな我が家、2人目不妊治療(TESE-ICSI)をかれこれ3年していて

今回凍結精子を使い切り、

たぶん近いうちに長い不妊治療生活に終止符を打つことになるんですが、

終わってしまうその前に脊髄損傷男性の不妊についてのお話

しておきたいなと思います。

 

 

29歳から通算11回の採卵をして、

「これだけあったら十分ですよ」と当初言われた凍結精子(10回分+再凍結1)を使い切りました。

 

 

 

このWCF発足のきっかけの1つに

脊損男性の不妊についてTwitterで呟きまくっていたのが

当時脊損男性の不妊についてをしっかり考えていたさんちゃんの目に留まり

さんちゃんと私が繋がったという経緯があります。

 

 

だからこの話題にはぜひ触れておきたかったの。

 

不妊治療は日々進化している分野なので

私が語れるのは不妊治療を実際にやっている今だけ。

 

ただ、あまりにも苦痛で正直この記事を書くのも苦痛っていうね 笑

 

 

 

Twitterでとったアンケートで

多くの脊髄損傷者が自分の生殖について知らされないままでいることがわかりました。

 

 

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調べてみると理学療法士のテキストに、

脊髄損傷者の性機能についてが掲載されているのでPTさんの分野なのかな?

だけど、生殖の話を詳しく聞くことができる人は稀なようなのです。

 

 

それで、ちょっと私の知っている話を書こうかなと

採卵後の病院のベッドの上で思ったのです。

 

 

PTの方見てますか?

整形のNs.やDr.の方見てますか?

 

脊髄損傷した人にも、その後の人生ってあるんです。

生活していくって、衣食住だけじゃなくて

そういうことも含むと思うんですよ。

 

障害者としての役割だけを生きていくわけではありません。

いつか結婚したい。父親になりたい、母親になりたい。

でもなれるのかどうかすら、わからない。

そう悩んでる人は多いです。

 

 

再生医療が発展するから脊損不妊も大丈夫?

 

んーと、なんの話をしてるんですか?

5年後?10年後?

その頃、私たちは子どもを持てる年齢ですか?

 

 

しっかりご本人の体のこと、知る機会を与えて下さい。

慢性期脊損の嫁からのお願いです。

 

 

注)私は専門家でも医療者でもありません。

  間違ってることもあるでしょうし、

  いち脊損嫁が聞きかじった話として聞いてください

 

 

 

はじめに

 

脊髄損傷をされた方々は

まだ将来が見えない・これからどうなるのかわからない・生活 がどうなるのか

と不安を抱かれていることでしょう。

 

将来子どもが欲しいとお考えの方も中にはおられるかもしれませんが、

結婚なんてできる気しないから子どもなんて考えられない方が大半だと思います。

 

まずは リハビリをして残存機能の向上を図り、生活をなんとかしてからと考えるのが一般的でし ょう。

 

ですがいざ、生活の基盤ができ、子どもが欲しいと思ったら

既に精子が障害されていたり、 もう精子がなかったというケースや、

妻の年齢が上がっておりなかなか妊娠に至らないと いうことがあることを知っていますか?

 

 

今日はそのことについてお話したいと思います。

 

 

 

①脊髄損傷男性の生殖ってどうなってるの?

  

赤ちゃんを作る、それは夫婦の共同作業。

一般的には夫と妻が互いに愛し合い、精子卵子に到達し、受精し、着床し、妊娠に至りますよね。

 

そこまでのどこかの過程に問題が生じれば

挙児に至ることはおろか、妊娠することはありません。

 

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脊髄神経を損傷すると、その生殖機能はどうなるでしょうか?

感覚・運動機能は麻痺部位以下で消失、または弱くなり麻痺状態を呈します。

 

もちろん脊髄下位が司る性機能も麻痺します。

性的感覚や性的な運動機能も鈍くなるか消失するのが一般的です。

 

 

では性欲はどうなるのでしょう?

そんなことを幾人かの脊損男性に質問したことがあります。

 

中には、「性欲そのものがなくなった」という人もいましたが

私が聞いた多くの男性は

「エロい気持ちにはなるし、やりたいって思うよ。でも気持ちよくはなれない。

 発散させる術がないって生き地獄だよ。」

 

性欲はあれど、性行為は難しい。

それが脊髄損傷男性の性の現状なのかもしれませんね。

 

 

とはいえ

脊髄損傷男性の約60%が勃起をし

約10%未満が射精可能です。

 

 

脊髄損傷であっても、それぞれのカップルが

既存の方法に囚われず、お互いを満たしあう方法でSEXすることは可能です。

 

 

どうしても挿入が必要な場合にはバイアグラレビトラなどの薬物を泌尿器科で処方してもらうことが可能ですが(自費)

人によっては血圧の急激な変動で、体調不良や自律神経過反射により脳内出血等の重篤な症状に陥る場合もあるので、医師とよくご相談を。

(自律神経過反射を知らないドクターや医療者も多いので注意が必要です。)

 

 

②脊髄損傷男性って赤ちゃんは作れるの?

 

脊髄損傷ではない一般の男性においてもいえることですが

射精さえすれば女性を妊娠させられるわけではありません。

 

射精していても射出している中に精子が居ないことや、

射出精子中に奇形精子や遺伝子異常の精子しかいなければ

妊娠に至ることはありません。

 

勃起や射精の困難な脊髄損傷男性が自然妊娠を望むのは大変難しい状況です。

 

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もちろん中には自然妊娠のケースもありますが

多くの場合、体外受精や顕微授精などの高度不妊治療を必要とします。

それは脊髄を損傷すると、精子の質に問題が起きやすいからです。

 

 

ですが脊髄損傷男性でも不妊治療をすれば赤ちゃん授かれる可能性があります。

 

 

 

脊損男性の不妊治療による妊娠率 52.4%

(1997 セントマザー病院調べ)

最新のものをご存知の方おられましたら、教えてください。

 

 

 

 

 

③背骨を折ったら精子凍結!!

 

脊髄損傷男性の性機能は一般的に経年劣化すると言われています。

 

早い話が、今日ある精子が明日あるかどうかわからない!

それが脊髄損傷男性の生殖機能の実際です。

 

理由は様々です。

 

① 睾丸は熱に弱い(34~35 度が造精の適温)が 脊髄損傷の場合、

 長時間の座位やパッド・おむつの装着・温度調節機能が働かない

② 繰り返す尿路感染

精子が作られてから射精に至るまでの期間が長いために精子が劣化している

④ 定期的な射精がないと造精に関わるホルモンの抑制が起こり、

 精子自体を作らなくなる

⑤ 合併症や新たな不妊原因の発症(繰り返す精巣上体炎や精索静脈瘤の発症など)

⑥血流の滞り

などなど

 

 

それらの結果として精子の数の減少や精子そのものが作られなくなるケース

精子が採れても精子の DNA が損傷され、不妊治療をしても受精せず妊娠が成立しないケースがあるのです。

 

 

受傷からの期間が長ければ長いほどそのリスクは高くなるのですが、

受傷2年ですでに精子が作られなくなっていたという話を聞いたことがあります。

 

 

これは勃起や射精の有無とは関係ないようです。

 

 

 

私の通う病院の培養士さんと話をする機会があったので聞いてみました。

 

私)「脊髄損傷の場合TESEしても精子が得られる確率はやはり低いのですか?」

 

培)「個人差が大きいものなので一概には言えませんが、私の体感としましては

   やはり受傷からの年月が長い人ほど開けてもなかった

  (TESEをしても精子が採れなかった)ケースが多く感じられますね。」

 

私)「うちは受傷後約25年なんですが、やはり再TESEをしても厳しいですか?」

 

培)「理論上はそういうことになります。ですが個人差もありますし

   7年前にTESEされて精子が採れたわけですし

   開けてみないとわからないのが実際ではあります。

   脊髄損傷の男性不妊は他の男性不妊に比べ、本当に難しいです。」

 

 

一度失った造精機能はそう簡単には戻りません。

後悔しても精子は戻ってこないのです。

 

 

 

いまはまだ先のことなど考えられなくて、結婚なんてできるわけがない!

結婚するとなったらその時に考えればいい。

 

そう思うでしょうが、

5年先、10年先に妊娠可能な精子がいる保証はありません。

 

そしてその時に悲しむのは、あなただけではありません。

あなたの未来のパートナーをも苦しめ、悲しませ、心身ともに

傷つけることになるのです。

 

 

 

まとめ 

 

 

うちの旦那は20代前半に

精子は早めに採って凍結しておいた方がいいよ」というような話を

確かに聞いたと言っていました。

 

ですがその時彼はこう思ったと言います。

「結婚なんてどうせできないから関係ないや」

 

 

そして今、精子は採れたものの

その質が圧倒的に悪く、私は通算11回目の採卵をすることになりました。

 

 

妻が健康でなんの問題もなければそれでもいいのかもしれません。

ですが我が家のように病気や障害のある妻の場合

自然周期しかできずに精子アンプルを無駄にしたり、

採卵のたびに急変し、不妊治療そのものが命がけになるケースもあるのです。

 

 

今、まだ精子の質がいいうちに採精してしまうことが

将来、妻の心身の負担を減らし、早く挙児に至る近道なのです。

 

 

精子は質が命!!

 

 

もしも結婚することがなかったら

そのときに凍結精子を破棄すればいいのです。

 

 

背骨を折ったなら、

まず精子凍結をされることをおススメします。

 

 

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あなたがいつか

父親になりたいと

少しでも願うなら。

 

 

 次回、TESEや不妊治療の話をするとしますかね?

 現場からは以上です(`・ω・´)